ヒンディ語はどこで通じるか

ヒンディ語はインドの公用語とはいっても、インドは広く、言語も数え上げたらそれはそれは沢山の言語が存在しています。ヒンディ語を話せない人もインドには実は沢山います。

首都デリーやその付近はまさにピュアなヒンディ語の話される場所と言われます。

ヒンディ語は主に北西部インドや北よりの中部で通じやすい言語です。というのは、北インドのパンジャーブ州などはパンジャーブ語ですが、ヒンディ語ととても似ているので両方話せる人が多いです。グジャラート州の人も同じくヒンディ語が話せる人が多いです。少し南下すると、大都市ムンバイのあるマハラシュトラ州はマラティ語ですが、このエリアもヒンディは通じやすいですし、ムンバイは各地から人々が集まる大都市だけに公用語を使わざるを得ないというものでしょう。

「通じやすい」というのは、実際にはパンジャーブ語もグジャラート語もマラティ語もみんなヒンディ語とは基本的に違う言語なのでこれらの言語の話者には普通なら通じないはずで、逆にヒンディ語が話せるから簡単にこれらの言語も話せるという訳ではありません。彼らにしてみても、学校でヒンディ語を学ぶ機会があったり、親がもともとヒンディ語圏から移住してきてヒンディ語の家庭で育ったり、またはボリウッド(ヒンディ映画)をさんざん見てきたからなどの理由でヒンディ語が話せるのでしょう。教育環境が乏しかったり、映画をそれほど見なかったり地元の小さな環境のみで生活する人たちにはヒンディ語は通じにくいとも言えます。

南下していくとバンガロールのあるカルナタカ州のカンナダ語圏、ハイデラバード付近のテルグ語圏。ヒンディ語との類似性は北部と比べるとだいぶ少なくなります。というのはまずアルファベットの見た目もデヴァナガリとまったく違う見た目になります。それでもこれらの言語の人たちはまだヒンディを片言で話せたり、少なくともヒンディ語で話されたことの意味が分かったりする割合はそこそこあるかもしれません。

さらに南下すると、タミール語やマラヤラム語の勢力が強くなりますが、これらの言語とヒンディ語の類似性は極端に少なくなります。それで彼らの多くはヒンディ語を話さない場合が多いです。特にタミール語圏は学校でインドの公用語のヒンディ語を教えない事も多いと聞きます。もともとヒンディ語は北から来たもので、タミールの人たちにしてみれば、押し付けられているようなものなので、反発する考えもあるらしいです。チェンナイ(旧マドラス)などでヒンディ語で大声で話したりしたらちょっと反感を買ってしまったりするかもしれません。むしろ彼らはもう一つの公用語の英語を重要視しているようです。タミール語とマラヤラム語の類似性は強いようなので、彼らはそこそこ通じ合えるしお互いの言語を学びやすいようです。とはいえ、ケララ州のマラヤラム語圏の人達の方がタミール語圏の人よりも公用語であるヒンディ語を学んで話そうとする謙虚な姿勢があるようです。

また、北東インドに行くとカルカッタのあるウェストベンガル州では主にベンガル語になります。彼らもインドの一部である故にヒンディ語を話す割合が高いようです。類似性もそこそこあってボリウッドヒンディ映画を見ている人も多いようです。

さらに東に東にと行くとまだまだインドの領地は続きますが、北東インドの地域はミャンマーやブータンとの国境とも近くなり、ミゾ語やナガ語、マニプリ語などと言うチベット・ビルマ語派のまったくヒンディ語とは違う言葉を話すエリアがあります。

またインドの人の多くは海外移住をするので、ヒンディ語を話す人は世界中に散らばっているといえます。ロンドン、ニューヨーク、パリをはじめとする世界の大都市のどこに行ってもヒンディ語を話す人に会うことはできるといえるでしょう。